「格差」「二極化」「階層」…といった言葉を、ニュースなどで頻繁に目にするようになってきた。日本の情報に乏しい海外生活なのに、その言葉が目に付くということは、日本では相当話題になっているのではないだろうか。
これは、これまでおしなべて「中流」だった日本社会の、上下階級の格差が広がってきているということ。所得格差が広がり、それによる学力格差が広がり、結果、中流クラスが減り、一握りの上流クラスと、大多数の下流クラスが増えていくという。
昨年12月、ニューヨークに来た知人が「これは2006年のキーワードになるよ」と言って持ってきてくれた『下流社会〜新たな階層集団の出現』という新書がある。本当にキーワードになってきたようなので、ここで紹介したいと思う。
「下流社会」というのは著者の造語。数々の調査データを元に、著者独自の切り口で、現在の日本社会に起こっている現象を解説している。
あまり堅苦しい本ではなく、消費者のタイプを、女性は「お嫁系」「ミリオネーゼ系」「かまやつ系」「ギャル系」「ふつうのOK系」、男性を「ヤンエグ系」「LOHAS系」「SPA!系」「フリーター系」に分類してみたり、「下流社会」の食生活や教育観などを解説してみたりと、ユニークな視点で論じられている。私が海外に住んでいて、日本の状況を皮膚で感じられないから、余計そう感じるのかもしれないけど、興味深い本だった。
何となく気づいていたものの、改めてデータで見せられると、本当に日本社会の格差が広がっていることを実感できて、ちょっと怖くなる。
このブログでも何回か書いてきたけど、アメリカ社会は貧富の差が激しい。昨年夏のハリケーン・カトリーナでは、被害者の大多数が避難することもできなかった貧困層だったというのは、ずいぶん報道されたので、みんな知っていると思う。「自由と平等」をうたうアメリカ社会で、浮き彫りになったアメリカの闇。日本も、いずれこのように貧富の差が激しくなってしまうのだろうか。
アメリカに来てから、日本の強さは「平均点が高い」ということじゃないかと感じている。
アメリカでは、教育において「個性重視」だけれど、日本は「国語も算数も音楽も体育もみんないい成績を取る」ことを重要視されてきたと思う(少なくとも私が子供の頃は)。
日本人は、何かに特別秀でていない代わりに、何でもまぁまぁうまくこなせる。つまり、何か失敗しても、別の手を考えることができる。極端かもしれないけど、個性重視で育ってきたアメリカ人は、その道で失敗すると、次に打つ手がなくて、とことん転がり落ちてしまう。
この本でショッキングだったのは「自分らしさを追い求めるのは下流」という章。つまり、定職に就かないニートたちの大多数は「大企業であくせく働くことを否定して、自分らしさを探し続けるあまり、いつまでも定職に就かない道を選んでいる」という説。
ひょっとしたら、アメリカ社会の二極化も「自分らしさ=個性」を求めることから起きているのかもしれない…と、妙に納得させられてしまう。
がんばっている人が評価され、得るものが大きい社会であってほしいと思う。でも、アメリカのように、一握りの大金持ちと、大多数の平等に機会が与えられない貧困層といった二極化が進むのはどうかと思う。子供たちは誰もがみな可能性を持っているのだから。
■過去の参考記事
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金のないやつは死ね!?・
台風14号(ハリケーン・カトリーナ被害の話題も)
・
アメリカ人が太る訳
新学期も始まり、
授業も始まり、「こんなことに夢中になっている場合ではないのに…」と思いながら、夢中になっていたこと。
…それは、歴史ミステリー小説「ダ・ヴィンチ・コード」。
アメリカでは2003年刊行、日本では2004年に翻訳、発売されてブームになった小説なんだけど、今ごろ借りて読んでみた。かなり遅いけど…(苦笑)。
これは、全米でも700万部以上、全世界にも翻訳されてトータル2000万部以上売れた、超ヒット作。映画化が決定しトム・ハンクス主演で制作が進んでおり、今年5月19日に公開されるんだそう。
物語は、殺害されたフランス・ルーブル美術館の館長の死体に残された不気味なメッセージの謎に、ハーバード大学象徴学者・ラングドン教授と、館長の孫娘で著名な暗号解読者のソフィー・ヌヴーが挑むというもの。二人は事件の容疑者となり、警察当局に追われながら、ヌヴーの祖父が守り続けた驚くべき秘密を解き明かしていく。
上下巻2冊なんだけど、あまりにおもしろくて、「次はどうなるんだろう」と気になってページをめくる手が止まらず、一気に1日で読んでしまった。さらに、結末は分かっているにも関わらず、細部を確認しならもう一度、念入りに読んだ。
同じ小説を2回一気に読むなんて、私としては本当に珍しいこと。
単なるミステリー小説というだけじゃなく、美術史やキリスト教史など、奥深く掘り下げられていて、本当に興味深い作品。「へえ!」が1000回くらいあったのではないかと言うほど、知識や情報に溢れている。
2回読んで、ようやく本から離れることができた!でも、そうしないと気が済まなかったので仕方がない(苦笑)。
■本紹介
まだ読んでない方、映画化でまた話題になること間違いなしなので、ぜひ!
■映画の公式ウェブサイト
・英語版
http://www.sonypictures.com/movies/thedavincicode/・日本語版
http://www.sonypictures.jp/movies/thedavincicode/
最近、ニューヨーク関連のムックや本がやたら出版されている。
紅葉が深まる秋や
イルミネーションが美しいクリスマスシーズンを意識してのタイミングなんだろうか? 確かに、ニューヨークらしい雰囲気を楽しめる時期かもしれないけど、寒いし(ここ数日はぽかぽか陽気だけど)、
あっという間に暗くなるし、日本で祝日が多くて観光シーズンという訳でもないし…。
日本の雑誌やムックの取材力というか情報量はホントにすごくて、日本から来る観光客の方がよっぽどおしゃれなところを知っていたりするので驚き。ニューヨークに住んでいる日本人も、この手の本が出ると「やっぱり日本の情報はすごいよね〜」とか言いながら、本屋で購入することも(苦笑)。
映画で旅するニューヨーク文藝春秋 2005-10
先日、紀伊國屋書店ニューヨーク店へちょっと立ち寄ったときのこと。
村上春樹の新刊「東京奇譚集」が積んであった。村上春樹が新刊を出したことも知らなかったし、どんな内容かも知らなかったのに、「ムラカムハルキの本」と言うだけでほぼ即買いしてしまった(苦笑)。
それに「初回入荷分70冊に限り、特別価格$19.95」というのも効いた。こちらで本を買うと、だいたい定価の1.5倍くらい。この本の定価は1400円なので、$19.95という価格にお得感があったし。
買ってしまったら当然、Midterm(中間テスト)で忙しい時期にも関わらず、一気に読んでしまった。やっぱり村上春樹の文章ってうまいしストーリーもおもしろい。「不思議だなぁ、どうなるのかなぁ」と思っているうちにあっという間に読み終わってしまう。この作品は短編集なんだけど、ひとつひとつ味わいがあっておすすめの一冊。私は特に「日々移動する腎臓のかたちをした石」が好き。
ふだん、学校の宿題で毎日読み終わらない程のReading Assignmentが出るし、日本語の本も実用書を買うことが多いので、久々に小説に触れてちょっと豊かな気分。
海外生活でシンドイのは、本が自由に手に入らないこと。紀伊国屋書店や旭屋書店ニューヨーク支店で、まぁまぁの品揃えがあるとは言っても限りがあるし、値段が高いし。興味のある本は、友人が観光でニューヨークに来るときに頼むことも多い。Amazonで私が購入して友人の家に送り持ってきてもらうんだけど、実際に書店で本を手にして買っていないので、イメージと違う内容であることも多いし。
■過去の参考記事
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読書の冬ニューヨークで日本の本を購入する方法について、など。
・
村上春樹「アフターダーク」最近…と言っても、今年の頭に読んだ村上春樹の本の紹介。
先日「ニューヨークの地下鉄には時刻表がない」と紹介したんだけど、実は存在することが判明!
MTA(Metropolitan Transportation Authority)のウェブサイトからPDF形式の時刻表がダウンロードできる。
※ダウンロードはこちらから
http://www.mta.nyc.ny.us/nyct/service/schemain.htmでも、駅構内に時刻表がないのは事実だし、この時刻表通りに運行していないので(苦笑)、「ない」も同然なんだけど。
さて、地下鉄に時刻表があることを教えてくれたのは「ニューヨークの笑体」という本。この本は、ニューヨーク発信の月刊誌「arco」編集長ダモシさんによる著書。
ニューヨークの地下鉄のことや、ニューヨークに住んでいる人はもちろん、一度でも来たことある人は、「そうそう!」と膝を叩いて読んでしまう。もちろんニューヨークに来たことない人にも、ある意味「覚悟」ができていいかもしれない(笑)。
ダモシさんはこの本の1/3くらい割いて地下鉄事情について語っているんだけど、彼の住んでいるクイーンズは、ちょっと信じられないくらい劣悪サービスらしい。マンハッタンのまぁまぁ便利な場所に住んでいる私でさえ、この地下鉄はひどいと思っているのに、クイーンズの方はそんなにひどいのか…とビックリしてしまった。あとは私もこのブログで書いているようなスーパーのレジなどのやる気のない店員の話題や、私も全く知らない多種多様な常識で暮らすおかしな人々の話題などを彼独特の視点で描いている。とてもウィットに富んだ表現で、軽いタッチなので楽しく読めてしまう。
例えば、ニューヨーカーにはここの生活にむかついたとき(笑)、観光で来る人にはニューヨークに来る時の機内で読んだりするのにピッタリな本かも。